全身熱傷に自家培養表皮 (ジェイス®) を使用した 2 例:—— 適正な使用方法の検討 ——
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概要
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症例1,56 歳,女性。灯油にて火炎熱傷を受傷した。気道熱傷あり,熱傷面積 67% (II 度 : 20%, III 度 : 47% Burn index : 57, PBI : 113) であった。全身麻酔下にて手術を合計 6 回施行し,その内,3 回自家培養表皮「ジェイス®」を使用した。自家培養表皮は非荷重部,人工真皮を使用し肉芽が形成良好であった部位,壊死残存なかった部位には生着良好であったが,荷重部である背部やエアーベッドによる物理的刺激が加わった側腹部,肉芽形成が不良であった部位,壊死の残存があった部位の生着は不良であった。症例 2,4 歳,男児。なたね油を 100°C 近くで精油中の釜に頭から転落した。熱傷面積 60% (II 度 : 55%,III 度 : 5 % Burn index : 32.5, PBI : 36.5) であった。全身麻酔下にて手術を合計 3 回施行し,その内,1 回自家培養表皮「ジェイス®」を使用した。症例1の経験を加味し,非荷重部,人工真皮を使用し肉芽が形成良好であった部位,壊死残存なかった部位の条件を満たした前胸部と右上肢に自家培養表皮を使用した。生着は良好であり,受傷 90 日目に退院となった。自家培養表皮の適切な使用方法とは,組織学的には基底板と真皮の係留を促す工夫が有用であり,解剖学的には非荷重部で,人工真皮を用いて良好な肉芽を形成し,壊死残存なく炎症のない部位に使用することが重要である。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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