皮膚病変が診断契機となった小児 Acute Lymphoblastic Leukemia の 1 例
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概要
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2 歳,男児。約 2 週間前より下腿に自覚症状のない皮疹が出現した。近医皮膚科を受診し,吉草酸ベタメタゾン・硫酸ゲンタマイシン軟膏を外用したが皮疹の数が増加した。4 日前 38.9°C の発熱があり,皮疹が更に増加したため他院皮膚科を受診。Henoch-Shönlein 紫斑病を疑われ,当科を紹介された。初診時,四肢に爪甲大までの浸潤の強い鱗屑を伴う暗紅褐色調の紅斑と紫斑が多発・散在していた。皮膚生検を念頭に同日血液検査を施行したところ,白血球増多,特に芽球の著増と血小板減少がみられた。急性白血病の皮膚浸潤を考え,同日当院小児科へ依頼。骨髄穿刺検査でリンパ芽球が 98.6%を占め,また末梢血の白血病マーカー検査でも B 細胞マーカーの CD79a,CD10,CD19 や DNA 合成のマーカーである TdT (terminal deoxynucleotidyl transferase) 陽性細胞がいずれも 80%以上を占めた。以上より,B 細胞型の acute lymphoblastic leukemia と診断し,当院小児科で化学療法を開始した。皮膚の病理組織学的所見では,真皮から一部皮下組織にかけて脈管・付属器周囲に巣状に異型を伴うリンパ球様細胞が浸潤しており,免疫染色では L-26(CD20)・CD79a・TdT が陽性であった。B 細胞マーカーである L-26・CD79a と TdT の二重染色を施行したところ,両者に陽性で,DNA 合成の盛んな白血病細胞がごく少数みられた。本症例では,皮膚病変が acute lymphoblastic leukemia の診断契機となった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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