皮膚爬行疹を呈したマンソン孤虫症の1例:―沖縄県での第3例目―
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概要
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症例は73歳の男性。初診の約40日前から腹部に自覚症状のない紅斑が出現した。前医でステロイド剤の外用を行ったが改善がえられず当科を受診した。当初,皮疹はベルトのバックルが当たる部位に一致していたため,接触皮膚炎と考えデルモベート<SUP>®</SUP>軟膏の外用を行った。しかし病変は軽快せず,次第にω状の線状爬行疹を呈し先端に皮下硬結が触れたため,寄生虫による皮膚感染症を疑い皮下硬結部を全切除した。病理組織学的に虫体構造と,その体内に束状筋線維束,コッサ染色で陽性を示す石灰小体を認めた。患者血清を用いた multiple-dot enzyme-linked immunosorbent assay (Dot-ELISA) ではマンソン裂頭条虫抗原に対し強陽性を示し,マンソン孤虫症と診断した。10年以上前に加熱したヘビの摂取と時期不明ながらアオリイカの生食歴があった。本症例は沖縄県で発症したマンソン孤虫症3例目の報告である。1993年から2010年までの18年間に日本で報告されたマンソン孤虫症84例を集計した結果から,マンソン孤虫症で皮膚爬行疹を示す症例は比較的稀と思われた。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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