腸管ベーチェット病が疑われたが潰瘍性大腸炎の診断に至った結節性紅斑の1例
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概要
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40歳,女性。数年前より下痢,軽い口内炎を時々来していた。2009年12月発熱,下腿に結節性紅斑が出現し当科紹介となった。安静とNSAIDs内服により速やかに解熱し炎症反応も低下していたが,1週間後に再度発熱,関節痛,針反応,多発性口腔内アフタ,下痢の増悪を認め不全型ベーチェット病が疑われた。眼病変なく,HLA-B51は陰性であった。精査で食道,胃,S状結腸~横行結腸に多発する潰瘍を認め,病理組織所見より潰瘍性大腸炎と診断された。PSL 30mg/日で病状の改善を認めた。潰瘍性大腸炎と腸管ベーチェット病は時として類似した臨床症状を呈することが報告されているが,自験例は最終的に潰瘍性大腸炎との診断に至った。潰瘍性大腸炎およびベーチェット病は個々の例において出現する症状や出現形式,時期が異なり,非常に多彩なスペクトラムを有する疾患である。長期にわたって注意深く経過をみることが必要であるとともに,更なる症例の蓄積が必要であると考える。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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