膀胱炎・褥瘡部二次感染が発症要因と考えられた成人アナフィラクトイド紫斑の1例
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概要
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39歳,女性。15歳時脊髄損傷にて神経因性膀胱となり常時バルーンカテーテルを挿入している。両下肢に紫斑が出来たため2010年1月に当科初診となった。初診時,末梢血液の白血球増加,CRP上昇を認めた。恥骨部には膿を伴う褥瘡があり,尿は混濁し尿中白血球も増加していた。褥瘡や尿の細菌培養では数種の細菌が陽性だった。皮膚生検所見では,典型的な leukocytoclastic vasculitis 像で,蛍光抗体直接法ではIgA,IgMがともに血管壁に沈着していた。アナフィラクトイド紫斑と診断し,感染巣に対して抗生剤を投与したところ紫斑は速やかに消褪した。紫斑の原因は尿路感染または褥瘡二次感染による感染アレルギーと思われた。抗生剤中止してから約1ヵ月後蛋白尿が増加し,紫斑病性腎症の診断でプレドニゾロン(PSL)30mg/dayの内服が開始された。2010年9月現在もPSL 15mgを内服中である。小児に比べ成人のアナフィラクトイド紫斑では腎障害が遷延化しやすいと言われており,注意深い観察の重要性を考えさせる症例である。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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