他剤効果不十分のアトピー性皮膚炎患者に対するロラタジンの臨床効果の検討
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概要
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アトピー性皮膚炎などのそう痒に対し, 効果不十分の場合に抗アレルギー薬を変更することは経験的に行うが, 治療効果を検討した報告は少ない。そこで, ロラタジンによる他剤効果不十分例における効果をSCORAD index, Visual Analogue Scale(VAS), Dermatology Life Quality Index(DLQI)を用いて検討した。そう痒性皮膚疾患患者20名(アトピー性皮膚炎17名, 他のそう痒性皮膚疾患3名)にロラタジン5~10 mgを1日1回4週間経口投与し, 皮膚症状(SCORAD), そう痒(VAS), QOL(DLQI)を評価した。皮膚症状は治療開始前31.6から2週後もしくは4週後の最終評価時15.2と有意な改善が認められた。そう痒は治療開始時60.8から最終評価時27.0(1週後 : 40.1, 2週後 : 33.2, 4週後 : 27.2), そう痒による不眠も31.1から9.2(1週後 : 17.7, 2週後 : 12.7, 4週後 : 8.3)といずれも有意な改善が認められ, 効果は1週後から認められていた。QOLについては, 試験開始前の総合得点は4.2であり, 下位尺度では「症状・感情」2.4, 「日常活動」0.9, 「仕事・学校」0.7であった。最終評価時には, 総合得点が2.2と有意な改善が認められ, 他の尺度も改善を認めた。医師による評価のみならず, 患者自身による評価であるVASやDLQIについても改善が認められたことにより, 効果不十分の症例では他剤に変更することは有効であり, ロラタジンはその際に有効な薬剤であると考えられた。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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