強皮症患者の皮膚硬化に対する超音波診断装置を用いた定量的Strain計測評価の有用性
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概要
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全身性強皮症(以下強皮症)患者の皮膚硬化を定量的に評価する方法としてmodified Rodnan total skin thickness score(m-Rodnan TSS)が一般に用いられている。この方法は, 強皮症患者を多数経験した医師の間では再現性にも優れているとされるが, 測定者の主観が入るのは否めない。今回, 東芝メディカルシステムズ社製の超音波診断装置に硬さを定量的に解析できるTSI(Tissue Strain Imaging)法を導入し, この生体内の硬さを測定する通称Strain計測法によって, 獨協医科大学病院皮膚科に通院する強皮症患者11名の皮膚硬化部位と, 性・年齢を一致させた健常者ボランティア18名の同部位における真皮および皮下組織の硬化度を比較した。このStrain計測では, 皮膚および内部の弾性をStrain値として客観的かつ定量的に表すことが可能であり, 硬化度が高い方が低値を示すことになる。前腕伸側では, 真皮・脂肪層でskin scoreと相関してStrain値が低値を示す傾向が認められ, 特にskin scoreの高い強皮症患者(skin score 2~3)と健常者の間では真皮及び脂肪層でともに有意な差が認められた。以上の結果は, 本Strain 計測法が強皮症患者の皮膚硬化に対して従来からのm-Rodnan TSSによる評価を補佐する客観的な計測手法として有用であることを示唆している。測定者の経験に結果が左右されない本Strain計測法は, 今後強皮症の診断や治療効果判定に活用していく価値があると考える。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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