サイトメガロウイルス(CMV)のみの再活性化が認められたゾニサミドによる非典型Drug‐induced Hypersensitivity Syndrome(DIHS)
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概要
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62歳,男性。症候性てんかんのためゾニサミドを内服していたところ,内服30日目より躯幹四肢に紅斑が出現した。第3病日より39℃台の発熱,肝機能障害,好酸球増多を伴った。他院皮膚科に入院し,drug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)が疑われたためゾニサミドを中止し,prednisolone 30mg/日より治療を開始された。第10病日に症状が増悪したため当科に転院した。現症 : 眼囲を除く顔面に鱗屑を伴うびまん性紅斑,口唇の一部にびらん,躯幹四肢は紅皮症様を呈し,一部に膿疱も混在し,頚部リンパ節腫脹を伴った。組織 : 表皮基底層の空胞変性,表皮細胞間浮腫,リンパ球・好酸球の表皮内浸潤,真皮上層の脈管周囲にリンパ球・好酸球浸潤,赤血球の溢出がみられた。臨床検査所見 : 白血球28400/<I>μ</I>l,好酸球38%,異型リンパ球5%,ALT 107 IU/l,AST 58 IU/l。血清CMV DNAは第23病日に460000 copies/mlまで上昇し,第37病日にはCMV IgG抗体価の上昇が認められた。経過中HHV-6,HHV-7,EBVについて血清ならびに全血中DNA量を4回測定し,HHV-6IgG抗体価を6回測定したがいずれも上昇はなかった。ゾニサミドのDLSTは第58病日に438.2%。以上よりゾニサミドによる非典型DIHSと診断した。頻回のウイルス学的検査にもかかわらずHHV-6の再活性化が検出できないDIHS症例が存在することが示された。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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