著明な表皮壊死を呈したSorafenibによる限局性手足皮膚反応の1例
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概要
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60歳, 女性。1999年7月, 腎細胞癌に対し左腎摘出術を施行された。その後多臓器への転移を認め, 摘出術を計4回施行された。2008年3月に左肺への転移を指摘されたため3月末からsorafenib 800mg/日の内服が開始された。内服開始5日目に手掌・足底に亀裂, 落屑, 水疱が出現した。投薬の中止により, 皮疹は消退した。皮膚生検による病理組織像では著明な表皮壊死が認められた。Sorafenibによる副作用として手足皮膚反応が知られるが, 高度の表皮壊死を来たす例が数例報告されており, 自験例も臨床経過, 病理組織よりsorafenibによる反応と診断した。Sorafenibは腫瘍増殖抑制効果や血管新生阻害作用を有する新しい分子標的薬で, 本邦でも2008年1月25日に厚生労働省の承認を得ており, 進行期の腎細胞癌に保険適応となっている。有害反応としての手足皮膚反応は国内第2相試験では55%にみられたが, 限局性で高度の表皮壊死を来たす例もある。今後, 本邦でのsorafenibの使用頻度は増加すると思われ, 有害反応としての皮膚所見を熟知しておく必要があると考えられた。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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