c‐kit解析を行った小児肥満細胞症の2例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例1 : 3ヵ月, 女児。生直後から背部, 右大腿部に拇指頭大までのそう痒を伴う褐色斑および水疱が出現し, 顔面, 四肢にも同様の皮疹が拡大した。Darier徴候は陽性であった。抗アレルギー薬の内服とmediumクラスのステロイド外用剤で加療。その後9ヵ月を経た現在, 褐色斑の新生はなく, 個疹は消退傾向を示す。症例2 : 1歳9ヵ月, 男児。生後7ヵ月頃より腹部にそう痒を伴う小指頭大までの褐色斑が出現した。体幹および四肢に拇指頭大までの褐色斑が孤立性に散在しており, Darier徴候は陽性であった。Mediumクラスの外用剤のみで治療を行い, 個疹は徐々に消退傾向を示す。病理組織学的に, 2例ともに真皮乳頭層を中心に明るい胞体を有した類円形の細胞が帯状に浸潤し, リンパ球や少数の好酸球を混じていた。Toluidine blue染色にて, 豊富な細胞質を有した浸潤細胞は細胞質内顆粒の異染性を示したことから, 肥満細胞症と診断した。皮疹部組織を検体としたc-<I>kit</I> 遺伝子変異の検索では, 症例2にのみ, 816番目のアミノ酸がアスパラギン酸(GAC)からバリン(GTC)への点突然変異を認めた。816番目の点突然変異は成人例での報告が多く, 小児例の本邦報告例は自験例を含め13例と比較的少なかった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
- 症例 Toxic Epidermal Necrolysis(TEN)型皮疹を呈したDrug-Induced Hypersensitivity Syndrome(DIHS)の1例
- Hydrocortisone17-Butyrate外用剤(Locoid)の使用経験--とくに弗素化ステロイド長期外用例について
- 多彩な皮膚病変を呈した慢性GVHDの1例
- Lupus Erythematosus Profundus に伴って筋の線維化を認めた1例
- 尿素外用剤塗布後の快適性に関する調査