腹腔内播種で再発した悪性黒色腫の1例―腎不全患者でのパクリタキセル,カルボプラチン有効例―:―腎不全患者でのパクリタキセル,カルボプラチン有効例―
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概要
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76歳,男性。2001年左肩の悪性黒色腫に対して拡大切除,リンパ節郭清術(stage III C,pT3a,N3,M0)および術後6クールのDAV-Feron療法を受けた。2005年12月5-S-cysteinyldopa(5-S-CD)値が上昇し,PET(positron emission tomography)-CTなどを行うも異常を検出できなかった。2006年5月呼吸困難,腹部膨満感が出現し,近医で胸水,腹水貯留を指摘された。6月当院総合診療部を受診し,腹水穿刺・細胞診にて,悪性黒色腫の腹腔内播種と診断され,当科入院となった。5-S-CD値は9598ng/mlと著しく上昇し,CTで胃漿膜側に結節を認め,同部への転移および腹腔内播種と考えた。基礎疾患に慢性腎不全があり,残存腎機能に配慮した化学療法として,パクリタキセル,カルボプラチン併用療法を約3週毎に計7クール施行した。腹水および5-S-CD値は著明に減少し,残存腎機能も悪化しなかった。しかしながら,末梢神経障害の出現と治療効果の低下があり,カルボプラチンを用いたDAC-Tam療法変法に変更し,計5クールを追加施行した。一時的な効果はあったが,5-S-CD値の再上昇と腹水・胸水貯留が顕著となり,悪液質を経て,入院18ヶ月後に永眠した。この間,他臓器の転移は検出されなかった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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