高校の相撲部員に集団発症したTrichophyton tonsurans感染症
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概要
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長崎県の2高校(N,K高)と香川県の1高校(S高)による相撲部の合同練習ののち集団発症した<I>Trichophyton tonsurans</I>(<I>T. tonsurans</I>)による体部白癬を経験した。N,K高ともに,合同合宿の参加部員全員が合同練習終了後2日から2週間前後で胸腹部,背部,上肢を主体に類円形の鱗屑を付す紅斑を認めた。近医皮膚科を受診し,KOH直接鏡検陽性にて体部白癬と診断され,<I>T. tonsurans</I>が分離された。診断の翌日,2高各々に集団検診を実施した。検診対象者は相撲部員(N高:10名,K高:6名)と指導教師(N高:2名,K高:1名)であり,診察と真菌培養,hairbrush(HB) sampling法を施行した。結果,診察では2高あわせて合同合宿参加部員11名全員に鱗屑を付す紅斑を認めた。真菌培養は11名中3名が陽性,HB sampling法は11名中1名が陽性であった。よって11名中4名から<I>T. tonsurans</I>が分離された。合同合宿不参加部員と指導教師には明らかな皮疹を認めなかったため真菌培養は施行せず,HB sampling法は全例陰性であった。抗真菌剤外用と内服にて治療し,経過観察中であるが,1年10ヵ月経過した現在も,再発は認めていない。原因菌は培養所見およびPCR-RFLP法より<I>T. tonsurans</I> NTS 1型と同定された。今回,集団感染の時期と潜伏期間が明確であったが,N高とK高では発症診断時期に2週間の差があった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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