シクロスポリンを内服していた汎発性膿疱性乾癬患者の妊娠・分娩の1例
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概要
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23歳,女性。妊娠9週。14歳頃から膿疱を伴う紅斑が出現し,臨床症状と組織学的所見から汎発性膿疱性乾癬と診断された。17歳からシクロスポリンによる治療を受けている。19歳と22歳の時に妊娠した際には,皮疹が増悪し,全身症状が出現したため,いずれも人工中絶により妊娠を中断した。今回は3度目の妊娠であった。シクロスポリンを内服していたが挙児の希望が強く,十分な説明を行い,納得を得た上で妊娠を継続した。患者は妊娠40週1日に健常男児を出産した。胎児には発育遅滞などの影響はなかった。汎発性膿疱性乾癬患者では,妊娠により,皮疹が増悪したり,全身症状が誘発されたりする。この際,妊娠継続と疾患コントロールを同時に行うことが重要である。今回私たちは汎発性膿疱性乾癬の妊婦にシクロスポリンを使用し,母子ともに経過良好の症例を経験した。汎発性膿疱性乾癬の妊婦にシクロスポリンを使用した本邦での過去の症例報告では,症状の増悪のため早期分娩や子宮内胎児発育不全が生じている。自験例では過去2回の妊娠中には症状が増悪し出産に到らなかったが,3回目の妊娠で正常分娩にいたることができた。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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