結節性紅斑より明らかになったHelicobacter pylori感染および直腸MALTリンパ腫の1例
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概要
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80歳の女性。3ヵ月前から両下肢に浸潤を触れる紅斑が持続した。皮膚生検で結節性紅斑と診断したがピペラシリンナトリウム点滴,ロキソプロフェンナトリウム内服を行ったが軽快しなかった。原因となる疾患の存在を考え全身検索したところ,直腸MALTリンパ腫,<I>Helicobacter pylori</I>(<I>H. pylori</I>)感染が明らかになった。現在までに結節性紅斑と直腸MALT リンパ腫,<I>H. pylori</I>感染との関連は報告されていない。直腸MALTリンパ腫に確立された治療法はないが,<I>H. pylori</I>除菌により縮小することが知られている。今回<I>H. pylori</I>除菌により直腸MALTリンパ腫が縮小し,両下肢の結節性紅斑の再燃が抑制された。自験例では結節性紅斑の原因として,直腸MALTリンパ腫,<I>H. pylori</I>感染のいずれが深く関与しているかは不明であるものの,難治性結節性紅斑に対して内臓悪性腫瘍の検索は必須であり,また<I>H. pylori</I>感染の有無の検索も重要であると考えられた。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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