アトピー性皮膚炎のそうよう,睡眠障害に対する塩酸オロパタジンの有用性び安全性の検討
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概要
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アトピー性皮膚炎においてはそう痒および夜間の睡眠障害が日常生活のQOLを下げることが知られている。日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインによると皮膚炎に対しては,副腎皮質ステロイド外用剤・保湿剤,場合により免疫調節剤の外用を行うとともに,そう痒に対しては抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤の内服を補助療法として行うことが推奨されている。塩酸オロパタジンは抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー剤(第二世代抗ヒスタミン剤)で,そう痒の軽減と睡眠障害の改善によりアトピー性皮膚炎患者のQOLを改善することが期待される。今回我々は塩酸オロパタジンをアトピー性皮膚炎患者22例に投与し,他覚的臨床症状,好酸球数の変動,さらに,そう痒および睡眠障害の程度をvisual analogue scale(VAS)を用いて10週間にわたり検討した。その結果,塩酸オロパタジン内服により他覚的皮膚所見,そう痒・睡眠障害および末梢血好酸球数を含む総合効果判定において86.4%で有用性を認めた。そう痒については内服前と比較して2週から10週まで有意差をもって改善を認めたばかりでなく,2週と10週,4週と6週・10週,6週と10週の比較でも有意差を認め,長期投与がそう痒のコントロールに有用であることが示唆された。睡眠障害は内服前と2週から10週まで有意差をもった改善を認め,さらに2週と8週,4週と6週・8週・10週でも有意差を認めた。好酸球数は内服前と内服8週目では有意差を認めなかったが,開始前は平均662.3個/mm3と高値であった好酸球数が8週目には558.83個/mm3と正常値へ減少した。副作用は全例に認めず,内服中止症例もなかった。以上より塩酸オロパタジンは,アトピー性皮膚炎のそう痒・睡眠障害を改善しQOLを改善することによりアトピー性皮膚炎に有用な薬剤と考えられた。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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