自己免疫性水ほう症の治療経過中に深部静脈血栓症,肺塞栓症を合併した3例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
難治性の自己免疫水疱症患者に発症した静脈血栓塞栓症3例を経験した。いずれも複数の静脈血栓塞栓症の危険因子を有していた。症例1は80歳の男性で下肢の不全麻痺がみられた。症例2は34歳の男性で,肥満,喫煙歴に加え,血漿交換療法のための大腿静脈への長期にわたるカテーテル留置と同部への細菌感染がみられた。症例3はB細胞リンパ腫に伴う腫瘍随伴性天疱瘡の67歳の女性で,ステロイドパルス療法を施行されており,経過中に脱水症を来していた。全ての患者においてステロイドの内服,入院後の歩行減少が共通の危険因子として認められた。ステロイドは凝固促進作用があり,ステロイドを投与された患者では,高齢,心不全,呼吸不全,感染症,脱水症,運動の低下など他の血栓形成の促進因子が加わることにより容易に静脈血栓塞栓症を生じる可能性がある。入院の上,ステロイドを全身投与される自己免疫性水疱症の患者では静脈血栓塞栓症を生じる可能性が高く,積極的かつ適切な予防が必要であることを認識しなければならない。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
- 症例 Toxic Epidermal Necrolysis(TEN)型皮疹を呈したDrug-Induced Hypersensitivity Syndrome(DIHS)の1例
- Hydrocortisone17-Butyrate外用剤(Locoid)の使用経験--とくに弗素化ステロイド長期外用例について
- 多彩な皮膚病変を呈した慢性GVHDの1例
- Lupus Erythematosus Profundus に伴って筋の線維化を認めた1例
- 尿素外用剤塗布後の快適性に関する調査