弁形成術が奏効した深部静脈弁機能不全による難治性静脈性下腿潰よう
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概要
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患者は55歳の男性。10数年前に右足関節に顕著な腫脹と疼痛を経験し,その後下腿から足背にかけて色素沈着に気づいた。3年前より右外果の難治性潰瘍に苦しむようになり,他医にて遊離筋皮弁術を施行されたがその11ヵ月後に皮弁周囲に潰瘍が再発し当科を受診した。初診時,右外果と内果,皮弁周囲および足背に最大径10cmまでの底部が黄色を示す潰瘍を認めた。逆行性静脈造影で造影剤の膝下までの逆流を認め深部静脈弁機能不全症と診断した。静脈弁形成術後,右下腿・足部の潰瘍は速やかに縮小し約4ヵ月後に完全に上皮化した。自験例は,深部静脈弁機能不全を精査するためには逆行性静脈造影が有用であり,また深部静脈弁機能不全による難治性潰瘍において弁形成術が奏効することを示している。静脈性潰瘍における原因精査とその結果に基づいた適切な治療の重要性を強調したい。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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