血液透析患者の両手に生じた難治性指尖潰よう
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概要
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73歳の男性。高血圧に起因する慢性腎不全があり9ヵ月前から血液透析を開始した。両手の指の難治性の潰瘍のため当科に入院した。手指の潰瘍は2ヵ月前から出現し,右手の方が左手より重症であった。下肢には虚血症状はなかった。入院時検査では血清クレアチニン値の上昇,高コレステロール血症,高リン血症,副甲状腺ホルモンの軽度増加が認められた。手の単純X線写真では橈骨動脈,尺骨動脈,および指の動脈に石灰化が認められた。動脈造影では右前腕の内シャントへ大量の血液が流入し,指の動脈への血流は低下していた。以上の臨床症状と検査所見から,動脈硬化,二次性副甲状腺機能亢進症,steal症候群の3者が指尖潰瘍の形成に関与したものと推測した。プロスタグランジンE1製剤の静注,リン吸収阻害剤や高脂血症治療薬などの内服,壊死組織の除去を含む局所処置により潰瘍は消失した。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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