バンコマイシン,アロプリノール投与中に透析患者に生じた薬疹の1例―発熱,白血球減少,好酸球増多を伴う―:―発熱, 白血球減少, 好酸球増多を伴う―
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概要
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50歳の男性。約2年前よりアロプリノール, 塩酸チクロピジン他4種の薬剤を投与されていた。腹膜透析カテーテル留置部にMRSA感染をきたし, 上記の薬剤に加えてトスフロキサシン, レボフロキサシン, セフタジジム, バンコマイシンを投与された。解熱した頃に紅斑, 丘疹を生じたため, すべての投薬を中止した。発疹に続いて3日後より38~40℃の熱発を伴った。更に7日後白血球数800/mm3に減少したがG-CSF投与後速やかに回復した。投与中止6日後のバンコマイシン血中濃度は13.2μg/ml, バンコマイシンによるリンパ球刺激試験は陽性であった(SI値272)。後にアロプリノールほか4種の薬剤を経口投与したところ, 再び同様の発疹と微熱, 好酸球増多をきたしたが, アロプリノールのみの中止により急速に軽快した。2回とも同様の斑状丘疹状紅斑であったことからいずれもアロプリノールによる薬疹と推測した。1回目の発疹に伴った高熱, 白血球減少などはバンコマイシンによる可能性を考えた。また, 2年間安全に内服してきたアロプリノールに対する薬剤過敏症 (薬剤アレルギー) の発症要因の候補として, バンコマイシンによる発熱・白血球減少や感染のアジュバント効果の関与を推察した。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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