乾せんのシクロスポリン療法におけるTDM(Therapeutic Drug Monitoring)の検討―シクロスポリンMEPC製剤(ネオーラル)のモニタリング法について―:—シクロスポリンMEPC製剤(ネオーラル<SUP>®</SUP>)のモニタリング法について—
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概要
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シクロスポリン(CYA)の乾癬に対する臨床的有用性はほぼ確立した。しかし,その腎毒性,高価な薬剤費からも血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring, TDM)に基づくより有用な治療法の確立が必要となってきた。しかし,既存のCYA製剤であるサンディミュン<SUP>®</SUP>では,その吸収,血中動態に問題があり,現実的にモニタリングが困難であった。そこでCYAをマイクロエマルジョン製剤化し,サンディミュン<SUP>®</SUP>に比べ,患者間での吸収のバラツキが少なく,個体内での吸収のバラツキも少なくなったとされるCYA-MEPC製剤であるネオーラル<SUP>®</SUP>を用いて, TDMに基づく治療法の確立が可能か否かを,その血中動態から検討した。今回,ネオーラル<SUP>®</SUP> 3.0mg/kg/日(分2)内服を行った尋常性乾癬患者13例におけるCYAの12時間の血中動態を観察した。その結果,トラフレベル(薬物血中濃度底値, trough level)は61.5~232.5 ng/ml,血中濃度—時間曲線下面積(area under the concentration-time curve, AUC)は2065.8~6123.3ng·hr/mlを示し,症例毎に血中動態のバラツキを認めた。しかし,その推移において,血中最高濃度(Cmax)は,いずれも内服4時間までに認められ,既存の剤型であるサンディミュン<SUP>®</SUP>と比較して,明らかに改善が認められた。同一症例における再現性については,各症例2回観察で,13例中10例では,トラフレベル,AUCの差が20%以内であり,血中動態の再現性があることが確認された。また,トラフレベルとAUCの問に有意な相関(r=0.83, p<0.01)を認めた。以上のことから,乾癬に対するCYA療法において臨床におけるTDMを基盤としてより有用な治療法が確立できる可能性が示唆された。また,AUCとトラフレベルの相関性が認められたことから,トラフレベルが治療指標として用いることができる可能性も示唆された。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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