腹膜透析15年目に生じた水ほう性類天ほうそう治療経過中に血球どん食症候群を来した1死亡例
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概要
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62歳,女性。22歳時に腎孟腎炎を繰り返し慢性腎不全へ移行,30歳より腎性心不全,47歳より腹膜透析開始,59歳より腎性糖尿病で各々加療中であった。初診の2ヵ月前に口腔内にびらんが生じ,1週間前から体幹にそう痒を伴う小豆大までの紅斑が出現し,当科外来を受診。その後四肢に水疱が多発したため,初診の2週間後に当科入院。病理組織学的に水疱性類天疱瘡(以下BP)と診断。ステロイドの全身投与を開始したが,心不全·腎不全の増悪を来した。二重膜濾過法血漿交換を6回施行し,水疱は足背に限局するのみとなった。同時期より血小板数が減少し,抗血小板抗体(anti-platelet-associated IgG)が高値を示したことから,特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)を併発したと考えた。その後直腸潰瘍から大量出血を来したうえ,MRSA腹膜炎を併発し,敗血症に陥った。汎血球減少,フェリチン高値に加え,骨髄での血球貪食像がみられ,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome以下HPS)と診断した。抗生剤の全身投与及び腹腔内投与,ステロイドパルス,免疫グロブリンの大量投与を行ったが改善せず,初診より3ヵ月後に永眠された。自験例のBPは,背景に慢性腎不全があり腹膜透析加療中であったこと,ITPを合併したこと,HPSを来したことが特徴的であった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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