薬剤性気管支炎を伴ったゾニサミドによる多形しん出性紅斑型皮疹を呈したHypersensitivity Syndromeの1例
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概要
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ゾニサミドによるhypersensitivity syndrome(HS)の1例を報告した。症例は26歳,女性で,本人と母親および弟がvon Recklinghausen病に罹患している。初診: 1999年9月17日。同年8月24日に側頭葉てんかんと診断され,ゾニサミド600mg/dayの内服を開始。9月4目に39℃台の発熱,9月13日にそう痒を伴う紅色皮疹が下肢より始まり全身に拡大し,乾性咳嗽が出現。初診時,顔面浮腫と全身の米粒大までの浮腫を伴う紅斑がみられ,体幹の紅斑は融合し,下肢では強い滲出性変化を示した。頚部リンパ節腫脹,38.4℃の発熱,乾性咳嗽がみられた。血液検査では,好酸球,異型リンパ球の増多,肝酵素の上昇を認めた。ペア血清によるヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)抗体価は,160倍および320倍であった。ゾニサミドによる薬疹を疑い,ステロイドの全身投与を行うも肝酵素の上昇,乾性咳嗽の増強を来たした。皮疹消退までに約1.5ヵ月を要した。咳嗽は皮疹消退後も続き,約2ヵ月に渡り遷延化した。ゾニサミドのパッチテストおよびDLSTはいずれも陰性であったが,内服テストにより皮疹を誘発することができた。以上より自験例をゾニサミドによる多形滲出性紅斑型皮疹を呈したHSと診断した。自験例では乾性咳嗽を主症状とする気管支炎が皮疹と同時に生じ,皮疹消退後も遷延化した点が特徴的であった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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