水ほう性類天ぽうそうの治療中にか粒球減少のみられた2例
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概要
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水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid, BP)の治療中に顆粒球減少のみられた2例を報告した。症例1: 38歳の女性。症例2: 59歳の女性。いずれも蛍光抗体直接法にて表皮基底膜部にIgGとC<SUB>3</SUB>が沈着。間接法にて抗皮膚基底膜部抗体を160倍以上認め, 免疫ブロット法にてBP180に対する抗体を証明し典型的なBPと診断した。いずれもプレドニゾロン(PSL)単独では反応悪くミノサイクリン(MINO)とニコチン酸アミドの併用開始にて水疱の新生は止まり皮疹は軽快した。PSLの胃腸症状防止のためPSL開始とともにいずれの症例もH<SUB>2</SUB>ブロッカーであるファモチジンを併用していた。BPの治療中, 症例1はMINO投与21日目, ファモチジン投与46日目に顆粒球減少(196/<I>μ</I>l)が認められ, 両薬剤中止3日後に回復(3796/<I>μ</I>l)した。症例2はMINO投与45日目に顆粒球減少(483/<I>μ</I>l)を生じ, ファモチジン投与49日目にさらに減少(240/<I>μ</I>l)し, MINO中止7日目, ファモチジン中止3日目に回復(2622/<I>μ</I>l)した。2症例とも両薬剤中止により顆粒球減少が改善したこと, H<SUB>2</SUB>ブロッカーは同時に投与される薬剤の感作を成立させやすい性質があることより, この2剤の併用が原因と考えられた。最近BPの治療法としてMINOが頻用されており, その副作用としてH<SUB>2</SUB>ブロッカーと併用すると顆粒球減少が起こりやすくなることを銘記する必要がある。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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