S状結腸ろう孔を伴った皮膚ゆう状結核の1例
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概要
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症例: 59歳, 男性。初診: 平成2年6月19日。既往歴, 家族歴に結核なし。初診の約3年前より臀部に紅色丘疹出現し, 徐々に拡大してきた。近医にて生検等施行されるも原因不明と言われ長期間抗生剤を内していたが, 改善みられないため当科受診した。現症: 両臀部∼大腿部にかけて鱗屑, 痂皮を付着する境界明瞭な淡褐色疣状隆起性局面を認めた。所々に脱色素斑と膿汁の排泄を認めた。病理組織学的には真皮上∼中層にかけて島状に稠密な類上皮細胞, 小円形細胞からなる細胞浸潤を認めた。表皮肥厚, 表皮乳頭の不規則な下方への延長があり, 乾酪壊死は認めなかった。胸部X線写真で右胸膜の石灰化を認めた。ツ反は陽性。組織培養にて<I>M. tuberculosis</I>を検出した。内臓結核精査のため行った注腸造影検査で回盲部, S状結腸間の瘻孔が認められた。同部の組織にて古い結核病巣が考えられた。以上より腸結核からの自家接種による皮膚疣状結核が疑われた。1987年より1996年までに本邦で36例(4例の自験例を含む)の皮膚疣状結核が報告されているがこの中には腸結核を伴う症例報告は認めなかった。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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