同一患者で陰嚢・右えきか・左えきかの順に発症を確認しえた乳房外Paget病
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概要
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80歳の男性。初診の1ヵ月前, 陰嚢の紅色扁平隆起性病変に家族が気づいた。生検にて乳房外Paget病と診断し広範囲に切除した。初診5ヵ月後に右腋窩に指爪甲大紅斑が, 6ヵ月後に左腋窩に同様の紅斑が出現した。病理組織学的所見: 1) 陰嚢部; 表皮内に明るい胞体を有するPaget細胞が基底層を中心に胞巣状または一部孤立性に増殖していた。PAS陽性(ジアスターゼ低抗性), alcian blue陽性(ヒアルロニダーゼ低抗性)であった。2) 右腋窩部; Paget細胞が基底層を中心に集簇しており, 一部毛包内にも認められた。3) 左腋窩部; 右腋窩と同様な病理組織像を示した。いずれも基底膜は保たれ真皮内への浸潤はみられなかった。免疫組織化学的所見: 1) 陰嚢部; carcinoembryonic antigen(CEA)に対して一部の腫瘍細胞は陽性所見を示しepithelial membrane antigen(EMA)も陽性であったが, S-100蛋白では陰性であった。2) 右腋窩; CEAに対してほぼ陽性。EMAにも陽性。S-100蛋白に対しては陰性。3) 左腋窩; CEAに対して右腋窩と同様にほぼ陽性。EMAも陽性。S-100蛋白は陰性であった。局所再発·リンパ節転移·悪性腫瘍の合併は認められなかった。以上の所見から本例を時期を異にして発症したtriple extramammary Paget's diseaseと診断した。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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