14年の経過を示し剖検時T細胞性リンパ腫が見い出されたCytophagic Histiocytic Panniculitis 初発時および剖検時の皮膚浸潤細胞の比較検討を含めて:—初発時および剖検時の皮膚浸潤細胞の比較検討を含めて—
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概要
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14年間の長い経過を示し, 剖検時皮膚にのみT細胞性リンパ腫が見い出されたcytophagic histiocytic panniculitis(CHP)の1例を報告した。症例は65歳の女性。初診の約14年前より四肢に結節性紅斑様皮疹が出没。約1年前より皮疹の一部が潰瘍化し, 躯幹にも波及するようになり当科紹介され, 入院。初診時, 四肢, 右肩, 臀部に発赤, 黒色痂皮を伴うくるみ大までの皮下硬結が散在。皮膚生検ではリンパ球, 組織球の浸潤からなる非特異的脂肪織炎の像を示した。ステロイド全身投与により一時軽快傾向がみられたが, 入院の3ヵ月後より発熱, 肝障害とともに皮疹も増悪し, 広汎な紫斑を伴うようになった。繰り返し行った皮疹の生検では診断が確定されず, 骨髄穿刺を行ったところcytophagic cellを認めCHPと診断, 化学療法を施行するも初診の5ヵ月後に死亡。剖検では皮膚, 骨髄, 肝, 脾に多数のcytophagic cellを認めるとともに, 大腿部の皮下硬結に, 瀰漫性, 中細胞型, T細胞性悪性リンパ腫が認められた。初診時および剖検時の皮膚浸潤細胞を酵素抗体法により比較検討したところ, いずれの標本でもUCHL-1, MT-1陽性のT細胞および<I>α</I>1-アンチキモトリプシン, KP-1陽性の組織球からなり, 初診時には異型性を示さなかったT細胞が悪性化した可能性が考えられた。また経過中フェリチンが異常高値を示した。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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