Erythema ab igneの真皮線維成分の病理組織学的変化
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概要
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14例のerythema ab igne(EAI)を材料とし, EAI真皮線維成分の病理組織学的変化を病期別に観察した。弾力線維は病期が進行する程に著明に増生し, 中期病変で真皮上層から深層に, 晩期病変で真皮中層から深層に増生して認め, 中期病変と晩期病変では明らかなgrenz zoneの形成を認めた。これらのEAIの弾力線維の増生の深さと程度の違いは, EAIの病期と病変の解剖学的部位および修復機序の違いによるものと考えられた。増生した弾力線維の形態は, 初期と中期では正常弾力線維に類似し, 晩期に至るほどカール状のものが多くみられ, 無構造の変性弾力線維をわずかに認めることが確認された。したがって, EAIの弾力線維は, 日光弾力線維症と形態と増生の深さにおいて異なると考えられた。膠原線維の軽度増生も認め, とくにgrenz zoneにおいて増生し, 慢性放射線障害あるいは日光弾力線維症の修復期に類似し, EAIにおいても真皮の障害に修復機序が存在すると考えられた。以上より, これらの組織学的変化は紫外線照射や放射線照射によるものと異なるものであり, photo agingに対応するthermal agingなる温熱線刺激による皮膚の老化の機序が存在するものと考えた。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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