重症アトピー性皮膚炎患者のサイクロスポリン治療:臨床効果と作用機序の検討:臨床効果と作用機序の検討
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概要
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成人の難治性アトピー性皮膚炎患者13名(男11/女2; 20-69歳)の協力を得てサイクロスポリンの臨床効果を検討した。治療開始直前まで8例がステロイド剤, 5例が抗ヒスタミン剤を全身的に使用し, 全例がステロイド外用剤を使用していた。12例で投与開始後3∼4日目にはそう痒が著明に低下したが, 臨床的にも投与開始1週間後には明らかな皮膚病変の改善が確認された。効果の得られた段階では全症例において外用剤を全く必要としなかった。興味深いことに臨床皮疹の病型による効果の差がみられた。即ち, 顔面(とくに眼囲), 頚, 臍周囲, 腋窩, 肘, 膝屈側にみられる, 糜爛と痂皮を伴う, 小水疱と丘疹からなる湿潤局面が最も著しく改善した。次に腋窩, 肘, 膝屈側にみられる苔癬化局面が良く反応し, 略治に2週間を要した。他方, 躯幹や四肢関節伸側に散在する, 紅斑を伴った苔癬化局面または結節病変の改善にはしばしば4週間以上を要した。このような治療応答性の違いは同一個体においても観察され, 顔面などの小水疱, 丘疹局面が1∼2週間で完全に消退した後も, とりわけ手指背などの亀裂を伴う苔癬や結節病変の消退には更に6∼8週間を要した。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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