色素性母斑を先行病変としたと考えられる悪性黒色腫
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概要
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色素性母斑を先行病変とし, 組織学的に同一組織内に色素性母斑と悪性黒色腫(以下MM)の共存が認められた1例を報告した。52歳男性。10歳頃より背部に黒色腫瘤あり。4年前より増大し, 初診1ヵ月前より出血するようになり, 平成3年1月25日当科を受診した。肩甲骨間部に色素性母斑と思われる拇指頭大の黒色腫瘤があり, これに連続して表面に糜爛を呈する腫瘍が認められた。左腋窩には拇指頭大のリンパ節を1個触知した。HE染色所見は, MMと色素性母斑(真皮内母斑)が同一組織内にあり, 両者の大部分は少量の膠原線維で境されているが, 一部連続している部分もみられた。MM辺縁部の表皮基底層には境界部活性および異型メラノサイトが多数認められた。HMB-45染色所見は, 悪性黒色腫細胞巣と周囲の表皮基底層のみ陽性であった。遠隔転移は認められず, 広範囲腫瘍切除, 両側腋窩リンパ節郭清, DAV療法, IFN局注, BCG内服療法を施行した。左腋窩リンパ節に転移を認めたが現在再発はない。自験例は病歴, 組織所見より色素性母斑が悪性化してMMが生じたと推測される。色素性母斑はMMの発生母地としてよく知られているにもかかわらず, 組織学的に検討した報告は少ないので報告した。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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