でん部慢性膿皮症に続発した有し細胞癌
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概要
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肛門周囲膿瘍, 痔瘻に臀部慢性膿皮症(以下CPP)を続発し, その瘻管壁から有棘細胞癌(以下SCC)が生じたと考えられる1例を経験した。症例は63歳男子, 昭和33年頃に発症した肛門周囲膿瘍に始まり, やがて痔瘻を生じ, 次第に臀部全体に硬結, 瘻孔が形成され, いわゆるCPPの状態となった。昭和63年頃, 臀部の数ヶ所に腫瘤が出現し急速に増大した。生検にて高分化型のSCCと診断された。すでに腫瘍が骨盤腔内へ浸潤していることがCTにて明らかとなったため, 手術適応はないと判断し, 化学療法, 放射線療法を施行したが, 腫瘍は徐々に増大し, 初診7ヵ月後, 局所感染の増悪にて死亡した。剖検時, 肛門周囲および臀部皮膚の瘢痕組織のいずれにも瘻管壁に連続してSCCの像がみられた。また, 肺, 肝への遠隔転移を認めた。以上のごとく, 自験例の特徴は, (1)痔瘻を先行病変としたCPPと考えられること, (2)SCCの発生母地は瘻管壁と考えられること, の2点にある。CPPにSCCを併発した場合, 文献的にも腫瘍は速やかに増大する傾向があり, 先行病変を欠くSCCに比べ転移率が高く予後が悪い。したがって, CPPは早期に外科的切除することが望ましく, また悪性腫瘍の早期発見に努めるべきである。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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