熱傷はん痕有きょく細胞癌 1症例の報告と本邦報告例の検討:—1症例の報告と本邦報告例の検討—
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概要
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37歳男子。1歳のときいろりに転落して頭頂部に負つた熱傷瘢痕が, 35歳頃から潰瘍化し, 次第に拡大隆起してきた。組織学的には有棘細胞癌で, 骨, 硬膜への浸潤を認めたが, リンパ節, 遠隔臓器への転移はなかつた。SCC関連抗原の軽度上昇を認めた。1966年から1988年までに報告された本邦での熱傷瘢痕より生じた有棘細胞癌73例について検討した。発症年齢は平均54.8歳, 発症までの期間は平均41.6年, 部位は頭部が相対的に多く, 男女比は2.4:1で男子に多かつた。受傷原因はいろりが最多であつた。また, 受傷年齢によつて, A群(10歳以下に受傷)と, B群(20歳以上で受傷)に分けると, 発症までの期間はA群で51.7年, B群で22.4年, 最多部位はA群が頭部, B群が下肢, 受傷原因としてはA群ではいろりが多いが, B群ではさまざまであり, 受傷時意識消失をみる例が比較的多い, という相違があつた。受傷年齢が高くなるほど癌発生までの期間が短くなる傾向がみられ, その意義について考察した。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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