悪性血管内皮細胞腫の2症例:—放射線照射続発例と特発例—
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概要
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放射線照射後に生じた悪性血管内皮細胞腫の1例と, 特発性に被髪頭部に生じた1例とを報告した。症例1は78才女子。昭和31年子宮癌の手術ならびに<SUP>60</SUP>Coによる放射線照射を両仙骨部, 鼠径部に受けた。25年後左仙骨部の照射部位に紅斑, 潰瘍が出現し, 広範切除を施すも局所再燃を繰り返し, 皮疹発生後6年を経て肺, 後腹膜転移を起こし死亡した。症例2は58才男子。昭和61年なんの誘因もなく前頭部に暗赤褐色腫瘤を形成し, 漸次増大した。広範切除を行うが, 初発より1年3ヵ月後, 血気胸にて死亡した。免疫組織化学的に腫瘍細胞における第VIII因子関連坑原は両例ともに陰性から弱陽性を呈し, 高分化細胞に, より局在する傾向があつた。UEA-Iは細胞の分化度に関係なく弱陽性から陽性を呈した。電顕的には血管内皮特有構造がみられ, 症例2では赤血球を貪食した腫瘍細胞を多数認めた。症例1と2は, それぞれ低分化から中分化, 中分化から高分化を示す悪性血管内皮細胞腫と考えられた。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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