汎血球減少を伴つたKaposi肉腫の1例
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概要
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山口県下関市在住の67才男子で, 元外国航路の船員。初診の1年前より, 右大腿内側および左下腿後面に数個の暗紅色結節が生じ, また3ヵ月前より右下腿に有痛性腫脹が生じてきた。結節の病理組織学的所見では, 真皮内に瀰漫性に血管内皮細胞様細胞および線維芽細胞様細胞の増生が赤血球の溢出やヘモジデリン沈着を伴つて認められた。皮疹の出現とほぼ同じ頃から原因不明の貧血が発現し, 他医にて副腎皮質ホルモンの全身投与による治療を受けていた。当科初診時には血小板減少が高度で汎血球減少を伴い骨髄は過形成像を示していた。副腎皮質ホルモン投与が皮疹の腫脹および血小板減少に対しては有効で, また放射線照射が結節の縮小に効果を示したが, 消化管出血をきたして死亡した。剖検にて肉腫の内臓転移は認められなかつた。汎血球減少とKaposi肉腫との間に何らかの病因的関連の可能性が示された症例と思われる。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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