黒毛舌の電子顕微鏡的観察
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概要
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黒毛舌の毛様物を電顕的に観察した。その結果, 毛様物は角化物であつた。角化の状態は正常角化にみられるケラチンパターンをとつておらず, ケラチンフィラメントが毛様物のほとんどを占める繊維状構造を示していた。このことは黒毛舌の角化は, 不完全な角化状態を示しているものと推測された。毛様物は扁平な細長い細胞質が重積したものであつたが, その細胞間隙は屈曲して隣接毛様物とは複雑な嵌合を示していた。これは直線的な正常角化のそれとは大きくことなつており, この複雑な嵌合のために, この角化物が本体から剥脱できにくくなり, 長期に毛様物として存在するものと思われた。毛様物内に, 電子密度の高い小顆粒および少数の空胞がみられたが, メラノソーム, 核, 細胞内小器官は認められなかつた。本症例からNocardia asteroidesを分離したが, これは二次的な附着と考えられる。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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