野生型麻疹ウイルスの二つのレセプター
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概要
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麻疹は,伝染力の強い急性発疹性ウイルス感染症である.一過性の強い免疫抑制を引き起こし,細菌などによる二次感染症が合併することが多く,致死率も高い.2000年に麻疹ウイルスのレセプターが免疫細胞上の分子SLAMであることが明らかにされ,これにより麻疹ウイルスがリンパ節,脾臓,胸腺などのリンパ系臓器を主な標的として感染し,免疫抑制を引き起こす現象の説明がついた.しかしながら,麻疹ウイルスの高い伝染力を説明する分子機構については未解明であった.われわれは麻疹ウイルスがSLAMとは異なるレセプターを用いて極性上皮細胞にも感染する能力をもつことを示したが,最近,Nectin4というアドへレンスジャンクション分子が上皮レセプターであることが解明された.麻疹ウイルスが免疫系細胞と上皮細胞のそれぞれに感染する能力をもったウイルスであることは,麻疹ウイルスの病原性を理解する上で非常に重要な知見である.
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