動物由来レトロウイルスの受容体
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概要
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レトロウイルス感染症は獣医学領域において古くから問題となっている.家畜や伴侶動物は様々なレトロウイルスに感染している.ウイルスの受容体(レセプター)を明らかにすることは,病理発生機構の解明,感染や発症を阻止する薬の開発,外来遺伝子導入用レトロウイルスベクターの開発などに役に立つ.獣医学領域で問題になっているレトロウイルスのうち,現在までにウマ伝染性貧血症ウイルス,ネコ免疫不全ウイルス,ネコ白血病ウイルスサブグループA,B,CおよびT,ヤーグジークテヒツジレトロウイルス,伝染性地方病性鼻腔内腫瘍ウイルス,鶏白血病ウイルスサブグループA,B,C,D,EおよびJ,細網内皮症ウイルス,RD-114ウイルス(ネコ内在性レトロウイルス),ブタ内在性レトロウイルスサブグループAなどの受容体が同定されている.霊長類由来レンチウイルスは,受容体として2つの分子(CD4とCXCR4などのケモカイン受容体)を必要とするが,ネコ免疫不全ウイルスもT細胞の活性化マーカーであるCD134分子とケモカイン受容体であるCXCR4の2分子を受容体として必要とする.ガンマレトロウイルスに分類されるウイルスは複数膜貫通蛋白を受容体とし,これらはアミノ酸やビタミン,イオンのトランスポーターとして働いている.ベータレトロウイルスやアルファレトロウイルスに属するウイルスでは,一回膜貫通蛋白やGPIアンカー型の蛋白を用いるものが多い.本総説においては,獣医学領域において問題となっている動物由来レトロウイルスの受容体を概説する.
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