内転型痙攣性発声障害に対する甲状披裂筋切除術と甲状軟骨形成術2型の比較検討
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概要
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内転型痙攣性発声障害(ADSD)の治療においては,ボツリヌス毒素の甲状披裂筋内注入療法(BT療法)が世界的に第1選択である。しかしわが国では,諸事情によりすべての施設でBT療法を行えない環境にある。そのため日本では手術に関する報告が多いと考えられる。現在本邦で施行されている術式には主に甲状披裂筋切除術(TA切除術)と甲状軟骨形成術2型(TP2型)がある。しかし,症例によってどちらの手術が良い適応であるか,いまだ議論を残すところである。今回われわれはADSDに対し当科にて手術を施行した症例の術式選択と手術成績について検討した。2001年から2008年に当科においてADSDと診断した症例を対象とした。診断確定の後,治療方法に関して患者にBT療法と手術,各々の利点と欠点を説明し,術式を決定した。この時点でBT療法を選択した症例は専門施設へ紹介となった。手術を選択した症例は10例で男性1例,女性9例,平均年齢は32.4歳であった。術式の内訳はTA切除術4例,TP2型6例であった。音声の評価はモーラ法を用い,spasmodic ratio(%)を算出し,術前と術後のものを比較した。TA切除術の術前平均は74.6%,術後は9.4%であった。TP2型の術前平均は65.1%,術後は4.7%であった。両方の術式ともに治療効果は良く,患者の満足が得られた。ADSDの手術治療においてTA切除術とTP2型は,ほぼ同等の治療成績であった。術式の選択の際は,各々の利点と欠点をよく考慮するべきであると考えられた。
- 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会の論文
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会 | 論文
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