当科における消化管異物の検討―食道義歯異物に対する全身麻酔下摘出の有用性について―
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概要
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義歯は消化管異物として比較的頻度が高く,日常診療上しばしば遭遇する疾患である。義歯の食道異物は縦隔炎などの重篤な合併症をきたす可能性があるため,摘出にあたっては慎重な対応が必要であるが,この点に関する検討は少ない。今回,最近経験した義歯による食道異物についてretrospective に検討した。2005 年4 月から2007 年8月の間に当院で経験した消化管異物は312 例であった。食道異物は68 例(21.8%)で,義歯が原因となったものは8 例であった。これらの内訳は,年齢27 ~ 85 歳(中央値,63 歳),性別は男性4 例,女性4 例であった。合併疾患は脳血管障害が3 例,統合失調症が1 例,意識障害が1 例であった。3 例では局所麻酔下に内視鏡で摘出可能だったが,5 例では全身麻酔下(開胸1 例,内視鏡的摘出3 例,直視下1 例)に摘出した。全身麻酔下に摘出した義歯の平均値57 . 5 mm は全身麻酔を必要としなかったそれよりも41 . 5 mm 大きく(p < 0.05),複雑な形状を示しているものが多かった。義歯による食道異物の摘出には全身麻酔を必要とする頻度が高いことを銘記し,安全な摘出には義歯の大きさや性状を考慮することが重要と思われた。
- 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会の論文
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会 | 論文
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