進行頸部食道癌に対する根治的化学放射線療法の治療成績

概要

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近年，頸部食道癌に対して喉頭を温存するため根治的化学放射線療法を優先する治療が行われてきており，手術例の治療成績と比較した。対象は1992 ～ 2006 年に当科で治療された頸部食道を主占居部位とするT2 以上の52 例を対象とした。根治的化学放射線療法を初回治療とした23 例と手術群29 例に分類した。手術群には術前化学放射線療法6 例，術前化学療法5 例が含まれていた。喉頭温存率および予後を比較検討した。根治的化学放射線療法23 例中12 例（52％）がCR と判定され，一方 8 例にSalvage 手術が施行され，喉頭温存率は78％と高かった。手術群29 例では7 例（24％）のみが喉頭温存した術式が行われた。Salvage 手術8 例中1 例が在院死，手術群では術前化学療法後の1 例のみが術死していた。治療開始からの生存率は根治的化学放射線療法と手術群との間に差はなかった。頸部進行食道癌症例において根治的化学放射線療法はCR 率が高く喉頭温存も多くの症例で可能であったが生存率は向上していない。また，頸部食道癌に対するSalvage 手術は合併症が多く危険性が高いと考えられた。
特定非営利活動法人日本気管食道科学会の論文