1次治療としてのS-1単剤療法が著効を示したPS不良進行肺扁平上皮癌の1例
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概要
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背景.高齢化社会の進行に伴い,performance status(PS)不良肺癌症例の増加が今後予想される.肺癌化学療法は進歩しているが,PS 3以上の進行肺癌に対する標準化学療法は確立していない.症例.65歳,男性.2008年12月,息切れと胸部圧迫感を主訴に当科受診.胸部CTにて左舌区腫瘤影,縦隔・両側肺門リンパ節腫大を認めた.CTガイド下経皮的縦隔リンパ節生検を施行し,肺扁平上皮癌(cT4N3M1,stage IV)と診断した.PS 3と不良であったが,2週投与1週休薬を1コースとするS-1単剤療法を施行した.2コース後には腫瘍の著明な縮小が認められ,症状は消失した.Grade 2以上の血液毒性や非血液毒性は認められず,全13コース施行できた.総合効果としてcomplete response(CR)が得られ,2012年9月現在も再発なく経過している.結論.PS不良の進行肺扁平上皮癌に対してS-1単剤療法が奏効し長期生存に至った症例を経験した.S-1単剤治療は忍容性が高く,PS不良の肺扁平上皮癌に対する1次治療の選択肢として考慮する余地があると考えられた.
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特定非営利活動法人 日本肺癌学会 | 論文
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