乳び腹水を合併した小細胞肺癌の1例
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概要
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背景.過去に乳び胸水を合併した肺癌の報告はみられるが,乳び腹水の報告は極めて稀である.症例.56歳男性.小細胞肺癌で放射線同時併用化学療法を行い完全寛解(CR)が得られていたが,2011年6月に小脳や肝臓,副腎,腹部リンパ節に転移が認められ再発と診断した.carboplatinとetoposideによる化学療法を再開し不変(SD)で経過していたが,11月下旬に呼吸困難と発熱が出現し,肺炎の診断で入院となった.抗菌薬で肺炎は改善したが,12月より上腹部痛と腹部膨満がみられ,大量腹水が出現した.腹水穿刺で乳白色の腹水を認め,血清に比して中性脂肪が著増しており乳び腹水と診断した.リンパ管の漏出部位の特定は困難であったが,造影CTからは大動脈周囲リンパ節の腫大によるリンパ流障害が原因と推測された.その後,食事療法とamrubicinでの化学療法を行ったところ,腹水は軽減した.結論.腹部リンパ節転移による乳び腹水を合併した小細胞肺癌の1例を経験した.
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特定非営利活動法人 日本肺癌学会 | 論文
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