イチゴ高設栽培用培地へのスギ粉砕物の適性
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概要
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スギの樹皮および間伐材粉砕物のイチゴ高設栽培用培地としての適性を検討した。「とよのか」「けんたろう」「エッチエス-138」の3品種を高設栽培し, 収穫後, 収量, 果重, 糖度を調査し, 結果を標準培土と比較した。スギ樹皮を培地として栽培した結果, 規格内収量は培土の77%であった。これには樹皮含有成分と保水性が影響していると考えられた。GC-MS分析により, スギ樹皮の水抽出物 (樹皮 : 水 ; 1 : 10, w/w) からvanillic acid (4.7 mM), vanillin (0.1 mM), p-hydroxybenzoic acid (5.1 mM), 3-hydroxy-4-methoxybenzaldehyde (0.6×10-2 mM) が検出された。これらの化合物はコマツナ (Brassica campestris L. var. perviridis) に対して0.5mMで生育阻害活性が認められた。野外堆積したスギ樹皮粉砕物培地のイチゴの収量は標準培土より低かった。培地を上下2層 (上層 : 標準培土, 下層 : 樹皮) として栽培すると, 収量は標準培土と同等になった。これらの結果, スギ樹皮粉砕物の透水性の高さと保水性の低さが培地の含水量を減少し, イチゴの収量が減少したと考えられた。スギ材粉砕物では, 生材よりも野外堆積した粉砕物の規格内収量が少なかった。これは野外堆積した粉砕物の方が吸水性および保水性が低いため, 乾燥がちになり, イチゴの生育に影響を与えたためと考えられた。イチゴ栽培では含有成分がかん水によって溶出し, 減少するため, 含有成分よりも, 保水性が収量に影響すると考えられた。
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