パーキンソン病における脳深部刺激術が言語学習に及ぼす影響
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概要
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視床下核脳深部刺激術 subthalamic nucleus deep brain stimulation (STN-DBS) が高次脳機能に及ぼす影響について, 特に言語学習に焦点をあてて検討した。対象は両側 STN-DBS を受けたパーキンソン病患者45 例 (平均年齢 62.8 ± 8.9 歳, 平均罹病期間 12.1 ± 6.7 年, 女性 21 名) であった。術後に有意な投薬量の減少と運動機能の改善を認めた。一方, 術後平均 16 ± 2 日に実施した認知機能検査において, Rey Auditory Verbal Learning Test (RAVLT) では, 遅延再生に反映される言語学習の長期的把持量自体に術前後では変化はなく, 記銘力への明らかな負の影響はないと考えられた。しかし, RAVLT の学習曲線には変化がみられ, 術後は試行後半での学習の伸びがみられず, 軽度の学習効率の低下を認めた。また, Mini-Mental State Examination (MMSE) は有意に低下し, 数唱は低下する傾向を示した。Modified Stroop Test では, 術後に反応抑制を反映する条件での処理速度の低下がみられた。以上の結果から, STN-DBS はパーキンソン病患者の長期記憶自体を悪化させるものではないが, 注意や全般性認知機能の低下とともに, 系列言語学習の軽度の効率低下を招来することが示唆された。
- 日本高次脳機能障害学会の論文
日本高次脳機能障害学会 | 論文
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