病初期の語義失語症例におけるカテゴリー特異的意味障害の経時的検討
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概要
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ピック病が疑われる病初期の語義失語症例におけるカテゴリー特異的意味障害について検討した。症例は 63 歳右利き女性,喚語困難で発症し,呼称および聴理解障害の進行を呈した。失語症語彙検査の意味カテゴリー別名詞検査を用いて検討し,聴理解では,初回はすべてのカテゴリーで差がなく障害は軽度であった。16 ヵ月後には,「身体部位」「色」「屋内部位」「建造物」は比較的良好であったが,「野菜・果物」「植物」「動物」「道具」「乗り物」「加工食品」に低下がみられた。生物カテゴリーでは,すべてのカテゴリーにおける障害がみられたが,非生物カテゴリーにおいては,カテゴリーによる乖離がみられた。本症例のカテゴリー特異的意味障害より,意味処理系は生物と非生物カテゴリーに二分されていない可能性,さらに各カテゴリーの意味処理機構と左側頭葉前部との関連性が示唆された。
- 日本高次脳機能障害学会の論文
日本高次脳機能障害学会 | 論文
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