認知症における行動心理学的症状(Behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)の直接行動観察式評価用紙の開発:信頼性と妥当性の検討
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概要
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BPSD の評価として専門職が行う構造化インタビューにはさまざまなものがある。しかし直接観察法では確立されたものはない。妄想,幻覚など個別の BPSD ごとに下位項目を含んだ施設職員用の直接観察式評価法があれば,臨床上の有用性は高いと考えられる。認知症利用者を直接観察するさまざまな職種が BPSD を適切に評価できる手段を確立することを目的として,8 つの主項目と,その下位項目からなる質問紙 BPSD-AS の試案を作成し,信頼性と妥当性を検証した。BPSD-AS は,NPI などの既存の評価法の項目を参考とし,認知症を専門とする行動神経内科医 (behavioral neurologist),PT,OT,ST 各 1 名の意見を元に試案を作成し内容妥当性を確保した。デイサービスセンターを利用した在宅療養中の認知症利用者 31 名を対象に,デイサービスセンターの介護職 5 名,医療福祉職 5 名の 2 群,合計 10 名の評価者で直接観察を行った。検査者間信頼性については多くの項目で重症度,負担度ともに級内相関係数 ri=0.6 から 0.7 であった。妥当性についても多くの項目で有意な相関が得られ,BPSD-AS は一定の信頼性と妥当性を有していることが示された。
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日本高次脳機能障害学会 | 論文
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