脳の画像診断:機能的病巣と形態的病巣
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概要
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脳虚血などにおける脳組織の病的変化は,すでに壊死に陥って形態的な変化をきたした形態的変化と,機能的には障害されているものの形態的には保たれている機能的変化の二つの視点から捉えることが出来る。病初期には脳血流量やエネルギー代謝の低下などの機能的変化が形態的変化に先行して現れるが,病態が進行するに従って徐々に形態的な変化が顕性化して,やがて機能的変化と形態的変化は収斂する。CT や MRI は専ら形態的変化を検出する場合に用いられ,PET や SPECT は機能的な脳障害の分布を捉える場合に用いられる。CT は頭蓋内病変を疑ったときに最初に行なわれるべき第一選択のスクリーニング検査である。X 線低吸収域はすでに壊死に陥った形態的変化を示しており,機能的な障害を受けた部位もこれよりも広く分布しているため,CT 上の低吸収域が病変部位のすべてを表している訳ではない。MRI は,放射線被曝がないことに加えて,軟部組織の分解能に優れ,矢状断や冠状断画像が得やすいことなど種々の点において CT を凌駕する。拡散強調画像は,超急性期の虚血病巣を鋭敏に検出することから,脳梗塞急性期の画像診断において不可欠である。拡散テンソル画像では白質線維の走行を解析することが出来る。fMRI に用いられる BOLD は,神経活動に伴う脳血流の局所的な変化を非侵襲的に捉えることから,脳賦活実験に広く応用されている。
- 日本高次脳機能障害学会の論文
日本高次脳機能障害学会 | 論文
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