情動に修飾される人物固定障害
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概要
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右側優位の側頭葉損傷と両側前頭葉腹内側部損傷を有すヘルペス脳炎例において,妻などかけがえのない人物は他者に取り違える一方,担当医などさほど親しくない人物には重複現象が生じるという特異な人物同定障害を認めた。本例に妻や病院スタッフの写真を用いた Misidentification triggering test を施行し,情動的価値の高い人物では顔の同定が不十分となり同程度に価値の高い他者に取り違えるのに対し,情動的価値の低い人物では顔の同定は可能だがその同一性が脆弱となり重複現象が生じると解釈できる結果を得た。このことから本例の人物同定障害は形態認知経路と情動的認知経路の統合不全と考えた。
- 日本高次脳機能障害学会の論文
日本高次脳機能障害学会 | 論文
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