甘藷(Ipomoea batatas (L.) Lam.)収量の気象的予測の可能性
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概要
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甘藷の生育や収量を気象経過から動的に評価・予測するモデルを構築する目的で,甘藷個体群に吸収された短波放射と乾物生産との関係を2004年から2008年にかけて調査した.供試品種はいずれもコガネセンガンである.2005年と2008年に入射,反射および透過放射を連続測定し,葉面積指数(LAI)とアルベド,日射透過率および植被による日射吸収率との関係を調査した.両年において,吸収日射量と乾物生産量の間には比例関係が認められ,吸収日射-乾物変換効率として5.51 g kWh-1を得た.LAIは全乾物重(Wt)に葉重比(LWR)と比葉面積(SLA)を乗ずることによって算出できる.LWRは10℃を基準温度とする有効積算温度(∑T10)の増加に伴って指数関数的に低下した.塊根乾物重(Wr)はWtに収穫指数(HI)を乗ずることによって求まる.この両者の間には相対生長関係が認められたが,その量的関係に関わるパラメータは植付け後5週間の平均地温(5 cm深)によって変化した.これらの結果に基づいて,植付け時の全乾物重を起点とし,日々の日射量と気温および植付け後5週間の平均地温からLAI,全乾物重および塊根乾物重の推移を動的に予測するアルゴリズムを構築し,予測モデルの作成に関わらなかった3実験に適用したところ,その予測値は全乾物重と塊根乾物重の動態を比較的良く追尾した.
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