猟銃による重症肩外傷の1例
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概要
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猟銃による肩の重症外傷を経験した.症例は38歳男性,左肩を後外側から猟銃で撃たれ,上腕骨頭,肩甲骨及び周囲軟部組織が広範囲に欠損していた.鉛片のいくつかは鎖骨下動脈近傍まで達しており,緊急手術にて多くの鉛片を摘出したが小さな鉛片が軟部組織内に無数に散在しており,全ての除去は不可能であった.1ケ月後,再手術にて肩峰と烏口突起の骨接合と人工骨頭挿入術を行った.棘下筋を前方へ移行して肩峰下のスペーサーとし,人工骨頭は45°後捻し近位のみセメント固定した.術後は安全肢位での安静と超音波検査併用にて筋の状態を確認しつつリハビリを行い,現在肩の屈曲・外転は約60°程度である.術後成績は十分ではなく,その原因として腱板機能不全と肩前面の筋の拘縮が考えられた.しかし筋の拘縮は鉛片摘出にかかる軟部組織への侵襲と比例するところもあり,鉛中毒のリスクを鑑みて行う必要があると思われる.
- 西日本整形・災害外科学会の論文
西日本整形・災害外科学会 | 論文
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