膝前十字靱帯機能不全が変形性関節症に与える影響
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概要
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膝前十字靱帯(ACL)が機能不全であると大腿骨と脛骨のcontact pointは後方に移動することが考えられる.今回主として末期の変形性膝関節症(膝OA)においてACL機能不全がOAの病変に及ぼす影響について検討した.2011年10月から2012年6月までに人工膝関節置換術を行った末期膝OA患者100名を対象とした.術前のMRIでACLを4段階評価し,立位側面像での大腿骨と脛骨のcontact pointと屈曲拘縮(側面骨軸で測定),立位膝外側角等の相関について検討を行った.contact pointは平均39.2%(17-60%)であり,ACL機能不全とcontact pointには相関係数0.2743となだらかではあるが,有意な相関を認めた(p=0.0057).また屈曲拘縮とは有意な相関を認めなかった(p=0.2224).愁訴,受傷歴,手術歴のない健常膝20例でのcontact pointは37.7%とOA膝と有意な差を認めなかった.これに影響する因子としてはOA変化によりrolling,glindingが減少すること,膝関節自体の可動性低下などが考えられる.今後は初期,進行期OAを含めた検討や,陳旧性ACL損傷との比較をすることでその他因子が同定できる可能性がある.
- 西日本整形・災害外科学会の論文
西日本整形・災害外科学会 | 論文
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